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与党なりの「正論」示せ

番頭役に徹し

官房長官という仕事はそもそも、内閣の番頭役だ。首相がやりたいことや、ほかの閣僚がやりたいことをアシストするのが役割だ。

 (8月27日の安倍改造内閣発足後の最初の大きな仕事となった)遠藤武彦農水相の更迭も、私が率先して辞めさせたのではない。 安倍晋三首相から直に「これはもたない」と電話がかかってきた。「親方がそう言うのなら、辞めさせざるを得ないなあ」となった。

 安倍さんが前面に出る形で物事を解決させるのはよくないので、私がやったことにした。後任を若林(正俊)さんにしたのも、安倍さんだった。


クーデター説のウソ

それでも、安倍さんは9月12日、首相辞任を表明した。

9月10日、(海上自衛隊の補給活動継続のための法案説明のため)説明に行ったら、安倍さんは「状況は厳しいんですよね」とつぶやいた。翌11日は「与謝野さんも大病から立ち直って…」と湿っぽい話をする。「一体、何の話かな」と思っていたが、辞める気になっていたとは思わなかった。

 (麻生太郎幹事長とともに、安倍氏をつぶした「クーデターの首謀者だ」と言われたことに)感想は何もない。私には安倍さんを倒して何の得にもならないではないか。うまいデマを流す人がいるものだ。


やるべきこと

政策協議をいう人がいるが、最初から対話を前提としてものを言うのではない。自民党が持たなければいけないのは「正しい姿はこうだ」という自民党なり与党なりの「正論」をまず明らかにすることだ。

 その上で、初めて野党との話し合いのスタートラインに立つものではないか。そこで、野党のいう「正論」も聞き、自民党なり与党なりの「正論」も相手に聞いてもらうという議論を経るなかで、よりよきものが出てくるのではないか。はじめから「正論」を捨ててはいけない。

実践すること

 消費税率引き上げの議論をすべきときに、衆院選前だからといって遠慮すると、次に参議院がくる。また選挙前だから遠慮して、しばらく待っていると、統一地方選がきたり、また衆院選や参院選がくる…。永久にものが決められない国家、日本になる可能性がある。お金の額を考えないで財政を論ずる人は、いわば精神論を論じているのと一緒だ。

 実質成長率は高い方がいいに決まっている。名目成長率で議論すると、インフレ期待を持つことになる。しかし、インフレは国民が一番きらう。実質成長率の「上げ潮」は賛成するが、インフレに期待してものごとを解決しようっていうから、「悪魔的手法」というのだ。

 安倍政権の演出者たちは、経済成長で幻想を振りまく精神論ばかりを論じてきた。私は、こうした問題を直視し、正直に国民に話して、議論していきたい。(肩書きはいずれも当時)
産経新聞 平成19年10月12日(金)掲載
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