社会保障と税の問題にどうしてもいかざるをえないのですが、福田総理の下で社会保障国民会議ができて、6月までにいろいろな提言をする予定になっているようでありますが、実際はその提言は前倒しになる可能性がありまして、3月、4月には一定の考え方が出てくる可能性がありますので、皆様方も、提言や提案を急いでやられる必要があるのだろうと、まず思います。
政治家が年金、医療、介護を考えるときに、制度の細かいところに行く前に、ものの考え方を整理しておく必要があると思っています。それは、例えば日本の健康保険制度が、世界的なレベルで見て優れた制度かどうかということを、皆様はまず判断される必要があります。あるいは年金制度というのは、世界的に見て優れているかどうか、これはきちんと検証する必要があります。介護の制度の評価も、制度として優れているかどうか。これは、どうしても他の国の制度と比較せざるをえない部分もあります。
例えば日本の健康保険制度。皆保険という制度が優れているかどうか。優れているならば、これを維持していかなければならないです。年金制度はどうか。これは改良の余地はあるにしても、優れた制度かどうかを、政治家としてまず判断していただいて、これを充実することはあっても、縮小することはないというものの考え方をする必要があると思います。
党内では市場原理主義者がいて、かなりいいことを言ってきましたが、突き詰めて彼らの主張に耳を傾けますと、また、1月に入って彼らの会合の中で提言されていることを伺うと、やはり国の財政をよくするためには、社会保障分野のお金をどんどん切っていくという考え方がにじみ出ていまして、たぶんこれは自民党の基本的な考え方とは違うのだろうと、私は思います。
社会保障制度を維持するためにはお金が必要だというのは明白なことですから、例えば男女の仲がもつれた場合には、お金なしで愛情だけで解決できる可能性があるのですけれども、社会保障制度はお金が足りなくなったら、愛情だけでは解決できない。やはり、社会保障制度を維持できる基礎的なしっかりした財政基盤が必要だということは、やはり知っていなければならないと私は思っています。
そこで、私は財政を考える時に、選挙区の有権者にお話しする時には、ざっくりした数字で説明していますけれど、日本の国民が納めてくださる税金は50兆円。使うお金は80兆円。だいたい30兆円の穴が開きますと。民主党なんかは15兆円も倹約できるという話をしていますが、そんな難しい検討をする必要はないのだと私は思っています。
80兆円のうち20兆円は借金の利息です。次の20兆円…それより少し少ないですが、地方にあげるお金。これは減らせないです。次の20兆円は社会保障に出しているお金で、これは増えていくことはあっても倹約はもうできない、限界に来ています。最後の20兆円で教育もやり、防衛費も出し、あらゆる国のその他の制度を維持しているわけですから、最後の20兆円のところで15兆円も倹約できるはずもないです。だから、おっしゃっていることは非常に聞こえはいいのですが、実際やってみると、なかなかそんなお金は出てこないです。
それから自民党が2006年の骨太方針で決めた歳出削減の額の最大は14.3兆円ですが、これも毎年、社会保障のお金を2200億円切っていく話ですが、もうすでに悲鳴が聞こえてきていまして。私はこれからも毎年2200億円ずつ切っていくことが可能かどうかは、実際の問題としては、もう限界に来ているのではないかと、個人的にはそう思っています。ただまあ、約束したことですから、それをやっていかざるをえないと思いますが、そういう社会保障の予算も、ある種の限界に来ていると思っています。
そこで財政改革研究会がどういう道筋をたどって財政再建をやろうかということなのですが、これは2006年の暮れに柳澤伯夫さんが出したレポートがありますが、これは2025年の数字です。これは倹約を重ねていっても、2025年に国と地方が支出する社会保障の総額は36兆円になりますと。これを仮に消費税で全部賄おうとすると、消費税の実力を3兆円に数えると、12%消費税をいただいて全部社会保障に回すことになります。こういう議論をしましたら、「柳澤と与謝野は消費税を12%にしろ」と言っていると数字だけが一人歩きしたのですが、仮に社会保障全額を消費税で賄ったら12%になりますと。こういう実は柳澤さんの提案だったわけです。
去年、大急ぎで作った財政改革研究会の中間取りまとめを資料としてお配りしてありますが、まず消費税5%の行方です。これは5%のうち4%が国に入ってくることになっていますが、4%は地方交付税で取り戻しをされますので、半々とは言わないですが、国と地方ではほぼ半々に近いです。国56、地方44ぐらいで分けている現実があります。国の社会保障関係費はもうすでに21兆円を超えていますので、消費税を全部その中に放り込んでもとても間に合いません。ですから特定財源の是非が議論されますけれど、特定財源にしても、背丈ははるかに社会保障費のほうが高いです。オーバーフローすることは絶対にないと、そのことをご指摘申し上げたい。
マクロで見た場合の仕会保障給付の推移ですが、マクロで見ますと、社会保障給付は2006年で90兆円、2011年で105兆円、2025年で141兆円。ものすごいスビードで増えていきます。これは少子化というよりも、団塊世代が加齢化するということで、医療介護の伸びが非常に厳しいという問題があります。
受益と負担の関係も書いてあります。我々の世代は、たぶん逃げ切れる世代で、島村宣伸さんや私とかは十分借金してツケは後に回してあの世に行きますと、逃げ切れる世代なのですけど、皆様はたぶん逃げ切れない世代なってますので。皆様が逃げ切れないと同時に若い方は全く逃げ切れないで、借金まみれの財政を白分たちが引き継ぐ、なおかつ、その中で社会保障費がどんどん増えていくという、最悪の事態を後の世代に残します。我々はどっちかと言うと構わない、どうか後で頑張ってねという話で後に残せばいいのですが、それでは後に残された世代はたまらないので、そこはやはり、きちんと今のうちから社会保障に関しては安定財源を確保する。それから財政全体は健全にするという二つのことを、やはりやらなければならないと思っています。
特に、日本の社会保障制度というのは、世界各国の中で極めて優れた制度です。例えばアメリカというのは華やかな社会かも知れないですけど、健康保険制度、医療制度を考えただけで、あの国だけは住みたくないと思っています。ですから、優れた制度を維持するために、やはり応分のご負担を願いたいということは、党としては率直に国民にお願いする必要があると思っています。
そこでざっくり結論だけ申し上げますと、党内では、社会保障を含めた国の財政、これはこれからも何もしないでも維持できるのだという人たちがいるわけです。これは何が根拠かと言うと、経済成長すればお金がどんどん入ってくるのだから、これで国の財政は健全化できるのだという。これも大いなる幻想でして、いろいろ調べていくと、ジョージ・ワシントンも、作家のヘミングウェイも、最近ではグリーン・スパンも、経済成長で財政の悪化は立も直らないのだと、自分たちの著作に書いているので、私も大いに勇気付けられました。
それじゃ、どの程度の負担をお願いしなければいけないのかということを考えた場合に、三つの目標があるわけです。一つは2011年に基礎的財政収支をトントンないしは黒字にすることです。それから2015年には国債を発行してもGDPに比べると背丈は一緒ですと、対GDP比で水平飛行ができるというところにもっていきたいことです。そして、2020年には財政収支を均衡させることです。財政収支の均衡というのは、借金の残高はあるのですが、その年の収入で、金利とその他の経費を全部賄いますということです。新規の国債発行は一応2020年代の初頭にはなんとか打ち止めにします。そこから先の話になると、どうするんだというとちょっと先の話になるなと言うことになりまして、まあ、日本がEUに加盟できるような資格を持つと、対GDP比国債発行額が60%以内というのが2050年ぐらいまでかかるのではないかと冗談話で話していたのですが、最終的にはEU加盟できるぐらいの資格を持ったような財政の状況にする必要があると思っています。
そうなるとやはり、当面、我々が約束してしまっていることは何かといいますと、一つは基礎年金に対する国の支出3分の1を2分の1に上げると約束してしまっている。約束と言うよりも法律に書いてある話で、やらなければならない。二つ目は2011年にはプライマリーバランス到達しますというのは、今の自公政権の公約です。自民党もいろんな機会にそのことを約束してしまっている。それから三つ目には党としての約束は、昨年や一昨年の税制改正大綱、あるいは総理が今年の施政方針演説でもおっしゃってますが、消費税を含む所得税、法人税、その他の税制の抜本改革をしますと言っているわけです。これはもう、言ってしまった話、あるいは法律に書いてしまっていることなので、これはやらなければならない。
そう言うのですが、我々選挙をやる人間としては、消費税を上げますということを言うのは、きわめて辛いことですし、いつのタイミングで言って、どうご理解をいただけるのかというのは、選挙をやる人間としては非常に難しい、悩ましい話です。一方では責任政党としてきちんとものを言わなければならないということはあっても、実にそこは悩ましいです、有権者との関係で。
消費税、売上税を議論する時の冒頭に、山中貞則さんがわれわれに言った言葉があるのですけれど、「君らは間接税というものを今日から議論する。覚悟しておいてくれ。韓国で、間接税の議論をした国会議員は全員落選した」と。脅かされました。だけどそこまで極端でなくても、常に税を上げるという議論は政治的な危険が伴います。ですからなるべく国民が理解しやすい形でお願いするしかありません。
朝日新聞の提言の中にこういう表現があります。「がまん勘定」「安心勘定」。「安心勘定」はみんなの安心のために負担するものですよと。「がまん勘定」はちょつと嫌だけど払わなければなりませんね、と。そういう考え方がジャーナリズムにも出てきていますが、我々は国民に仮に理解していただけるとしたら、やはり集めた消費税、間接税は、社会保障のお金として全部国民に還元しますよと。官の肥大化には使わせないです。要するにこれは言わば、一時的な預かり金ですと。やはり消費税という昔の名前でいつまでも出ていてはダメなので、全部還元するということで、名前をどうしようか。社会保障還元税とか社会保障新税とかいろんな名前が出てたんですけど、われわれは率直に社会保障税ということで、もっぱら間接税を社会保障だけに使いますと。それ以外には使いませんという、言わば、全額国民に還元するという形の税にして、ご理解を得る。これしか方法はないのではないかというのが財革研の中間取りまとめの方向性です。
その場合、先ほど申し上げた2015年、2020年代のそれぞれの目標を到達するためには、やはりもう5%が必要なのではないですかと。全部で10%。これならばなんとか辛うじてやって行けるのではないかと。まあそういう計算をしているわけです。ただ、税の話は計算だけではだめなので、政冶的にこれをこなせるかどうか、という問題がありまして、それは税の名前、それから使い道、いつお願いするかというタイミング。そういうもろもろの高度に政治的な判断が必要だと思いますけれど、いずれにしても、やはり日本の優れた社会保障制度を維持していきますと。優れているということを実証しなければならない。これを維持するかどうかという政治的な判断をしなければらならない。
「小さな政府」ということをよく言う人がいます。自民党の綱領にも「小さな政府」ということが書いてあるのですが、財革研で中間報告を取りまとめたら、「自民党の網領違反だ」という人がいました。綱領は私が書いたので、別に違反しているとは思ってないのですが。
これは分けて考えなければならない。小さな政府を目指さなければならないのですが、社会保障を含めた小さな政府ということができるのか。これは絶対にできないです、できません。それで小さな政府という場合には、社会保障を除いた部分でなるべく効率性の高い政府を作っていくという意味でありまして、市場原理主義者が言うように、社会保障までバタバタ切って小さな政府を作るということは、たぶん日本の社会的な風土になじまないですし、始めたことを止めるというわけにはいかないです。まず不可能だと思っています。それで、社会保障を除く部分はきちんと小さな政府を目指さなければならないと私は思いますし、社会保障の分野も甘んじることなく、税の効率性ということを考えなければならないと思っています。
今日、財革研があって、ここは道路財源の話をしますが、来週は、社会保障制度なんかも、取り上げていきたいと思っています。皆様方、ぜひ議論しているだけでなく、ここでの議論を取りまとめて、官邸、総理にご提言をいただきたいです。ただ、意外に官邸の議論が早く進展しますので、ぜひ、そのスケジュール感を確かめていただいて、社会保障国民会議の議論に資するように、タイミングよくものを言っていただきたいと思います。私は、この優れた社会保障制度を維持する、そのためには国民に負担を願うというのは、われわれが正直にお願いしていかないといけない、責任政党としての義務があるのだろうと思います。もちろん、プレゼンテーションの仕方は、なるべく国民の側で受け入れやすいということは考えなければいけないのです。やはりお金がないと解決できない問題は、お金の問題として、率直にお願いをするということが必要なのではないかと思っております。以上です。
【質疑応答】
Q――まだまだ霞が関に無駄がある、もっと行政の無駄を排除せよという声が強い。どう整理したらいいのか。分かりやすく選挙民に話すにはどうすればいいのか。国民はこのままの調子でいいとは思っていないはずだが。
与謝野 先ほど申し上げたように、政治的にどうこなすか、どう説明できるかというのが非常に大事なところで。無駄を省けばなんとかなるとか無駄が多いという。予算の無駄には二種類あって、会計検査院が指摘するような間違った使い方ということと、この政策は無駄な政策だという政策の評価の問題と、両方あるんですが、政策の評価というのは非常に難しくて、これは必要だという人は100も200も理論を持っているわけですよ。それぞれの予算にはいろいろと理屈があって、なかなかうまくいかない。無駄を排除すればなんとかなるという議論は、会計検査院的な無駄は論外だとしても、政策評価的なところは非常に難しい間題があるわけです。
束京の人にしてみれば「道路なんか必要ないじゃないか。オレの周りは全部道路なんかできている」と言うが、それは東京の話であって、地方に行けば道路政策、道路予算は大事だという話になるわけです。この政策的な無駄の話は、評価が難しい。
それから行政改革の話だが、国家公務員は世界で一番日本が少ないという現実はあまり知られていない。そこのところは、やはりうまく説明をしていかないと、民主党みたいにいろいろやれば15兆円も倹約できるという夢みたいな話をしてくれるわけです。信じちゃうんですよ、これ。国民は。そこのところの説明ぶりは難しいし、私も束京で選挙やっている人間ですから、税は上げませんといって選挙やったほうが圧倒的に有利なわけです。それと、責任政党のあり方との間の相克というのは、みんなで考えて乗り越えていかなきゃいけないだろうと思う。
ただ、行革はもうずいぶんやってきて。どっかでレクリエーションやったとか、マッサージ器買ったとかバカみたいな話が出てくるんだけど、そういうことあるもんですから、余計そういう議論に拍車をかけちゃう。ただ政策的な無駄というのは、なかなか立証するのは難しい。地域によって違うし、業種によって違うし、年齢によって違う。非常に説明しづらいんですよ。
Q――全面的に消費税10%に賛成だが、景気が減退するという議論に巻き込まれないように、一度に5%ではなく、2年に1%ずつ10年かけて上げるのが私の持論だ。劇的に上げると劇的に選挙に負けると思う。自民党が税源を確保してから民主党に政権を渡してはならない。上げる前に選挙をやるべきだ。
与謝野 これは議論が分かれるところで、1回ずつ上げるとその都度、敵を取られる。敵を取られるなら1回で済まないかという議論もあるんです。それから、穏やかに上げていけば我慢してくれるんじゃないかという議論も当然ある。それから、消費税と景気の関係ですが、
消費税を上げた方が消費が増えるという議論もあって…異説ですけどね。だけどあんまり上げちゃうと消費を抑制して、景気が悪くなっちゃうのは事実なんで、そのことは注意しながらやんなきゃいけないのは当然だと思う。
Q――社会保障のためには消費税を上げてもいいという声はあるが、食べ物はちょっとやめてほしいという声がある。
与謝野 食料の非課税とか軽減税率は、当然ヨーロッパの例があるんですが、フランスの消費税率は19.6%とかそういう段階で、そこで軽減税率は意味があるんです。10%のところで、たぶん政治的には必要になってくると思うんですけど、実際10%のところでもう一つ食料は5%という軽減税率を入れるというのは、徴税効率、納税効率から木当に大丈夫なのかという問題はあります。けれども多分おそらく、政治的には例えば10%と言ったときには基礎的食料は今までどおりとか。キャビアはどうするのかという端っこの問題はあるんですけど、軽減税率をやるという話に政治的にはなるんじゃないかと思います。
Q――消費税には逆進性に批判もある。昔の物品税という考え方もいいのではないか。直間比率も含めて全体的な税体系を見直すことに国民の理解を深めていくべきだと思う。
与謝野 逆進性の問題と、付加価値税の基本的な性格というものを理解しなければならないと私は思っております。まず、この税を導入する時、もともとは「売上税」という名前で提案されたんです。これは一種の取引高税で、昭和20年代に導入された取引高税との違いは、仕入れ価格を控除しますと、ですから税が累積していかないということで「売上税」というのが最初の名前です。実は、その名前がいま思うと正しかった。
ところがその当時、私は商工部会長をしていたんですが、中小企業団体や商工団体から「売上税だったら消費者に転嫁できない」と責められて、名前を「消費税」にしたんです。これは不正確な名前で、実際は付加価値に対する課税ということで、一種の取引高税。税を納めているのが誰かというと、法人とか事業者、商店であって、個人ではない。取引高から仕入額を引いたものに課税されている。物価に転嫁されているわけです。物価に転嫁されているのはけしからんじゃないかと言うんですが、例えばビール1本買ったって、消費税とか酒税が入っているばかりじゃなく、その会社の社長の所得税も、会社の法人税も固定資産税も全部入ってまして、そういう意味ではこの税をコスト化して考えると、逆進性というのは実は私はあまり感じられない。
ただ、所得税、国と地方のいわゆる所得課税の最高税率が50%になった。これはやっぱりちょっとフラット化しすぎているんじゃないかというのが私の個人的な考え方です。やはり最高税率の部分は、将来消費税を変える時には、少しは上げたほうがいいんじゃないかなあと思ってます。
それともう一つ、日本の社会として考えなければいけないのは、昔は所得税が持っていた所得再分配機能というのは比較的高かった。だけど今、それが非常に小さくなったという問題があって、そこでさらに逆進性の議論が強くなっちゃう。所得税制のあり方も含めて全部を考えるというんですから、消費税を考えるんだったら、その部分もちゃんと考えなければいけないんじゃないかと、私は個人的には思ってます。
Q――公的年金がスタートするときに、老後の生活を支える根幹となる大きな金額を得られる設計ではなくて、老後の小遣い程度のものだった。母親が85歳になるが、幸せな世代で、きわめて低い負担で年金を受け取ることができる。ところが今、年金は老後の生活の支えでなければならない、なのに国はそれを整えていないと批判される。中福祉低負担から脱却し、少なくとも中福祉中負担に切り替えることを政府や政権与党がはっきり言わないと、根本的な過ちを犯してしまうのではないか。
与謝野 日本の年金を設計した人は、非常に善意に満ちて設計したと思うんですけど、設計した人が予想しなかったことが二つ起きたと思うんです。それはみんな非常に長生きになった。昔は年金を差し上げても、5年とか長くても10年ぐらいで支給は終わったんですけど、今
は支給を始めてから20年とか25年とか支給しなきゃいけないという、とても昔の人が考えた話とは違っちゃった。
それと、昔の人は人口はたぶん安定的ないしは若干増えていくだろうということを前提にしていた。こんなに少子化が進むということは考えてもいなかった。この二つのことから、年金制度というのは改正していかざるをえないし、今後も若干の微調整はやっていく必要があると私は思っております。
お母さまの世代は、掛け金のおそらく5倍から6倍受け取れる世代ですけども、今の若い人たちの世代は、納めた額より低くなることはないと思いますが・何倍も受け取るというわけにはいかない。やっぱり、木当に受給期間がこんなに長くなるということと、これだけ少子化が進むというのは、最初の年金の設計思想とは全く外れちゃったということがあると思う。制度が悪いんじゃなくて、仕会の現実が変わっちゃったということだろうと
思っています。
Q――昨年の税制改正議論では、地域間格差の是正には消費税の役割が大きいという議論があった。今日は全額を社会保障に充てるというお話だったが、どういうふうに調和させていけばいいのか。
与謝野 東京が1人勝ちだから、東京から税金を取り上げようという話になって、私も木原誠二さんも島村さんもみんな東京で、取り上げられるほうは割に落ち着いていたんですが、実際に東京は3000億円出して、もう今年から交付税で配るという話になっている。園田博之政調会長代理に話を聞くと「あれは地元じゃ喜んでいる。地元の天草だけで7億円増えたんだ」と。合併のご褒美もあるが、あれはあれで良かった。だけどこれからは出せって言っても、もう石原さんはウンと言わないから、なかなか東京都の税金を取り上げて地方にまくというのは不可能です。
不可能だろうと思うし、もう言われてもできない。私、去年の暮れは一生懸命やりましたけど、もうできないという感じで。だけど石原さんもしっかりしていて、環状道路を造れとか、羽田空港の国際化に協力しろとかいろんなことを言われて、みんなウンって言ったんですよ。向こうもそう損はしちゃいない。
だけど、もともと柳澤構想は、消費税は一切、地方の一般財源には使わせないと。12%取ったら全部社会保障に使おうという構想だったんです。おそらく消費税を上げたら自分たちにも分け前が降ってくるだろうと、地方の首長はみんなそう考えてるんですけども、そうは行かないよという考え方も白民党の中にある。特に、社会保障を特定財源にするのであれば、社会保障に必要なお金しかそこから行かないということで、そのへんは錯覚してもらっては困るんだろうと思っています。
自民党本部 2008年2月6日
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