米国など世界経済の減速と原油・原材料高が企業を直撃し、相次ぐ値上げで暮らしも
厳しさを増す。戦後最長の景気拡大局面は終わったとの見方が強まるなか、政府の経済財政政策は
難しいかじ取りを迫られている。司令塔の与謝野馨・経済財政相に聞いた。
景気をどう見ますか。
国内企業は設備、債務、雇用の過剰を整理しきった。米国経済が苦しくなり、中国や東南アジアに悪影響が出て、日本からの輸出が鈍っている。海外経済が回復すれば、日本も回復するという割と単純な方程式だ。いずれ世界経済も落ち着く。日本経済の先行きもあまり悲観的に見ていない。
福田首相の指示で、原油高による物価上昇や景気減速への総合対策をまとめることになりました。
今の物価上昇は、国内的要因よりは、海外の原油・原材料や食糧高によるものだ。バラマキ的な対策はあり得ないが、予算、税制といった政策手段を総動員しなければならない。経済産業省や農林水産省、与党などとよく協議して、とるべき方策や実現に向けた手段を考えたい。
政府は11年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するという財政再建目標を掲げ、歳出削減の数値目標も設けています。
11年度のプライマリーバランス達成という目標は動かすわけにはいかない。歳出削減は堅持して良いが、だからと言って国民の将来にかかわる分野にお金を使わないということにはならない。歳出削減一辺倒で考えていくと、縮小均衡に陥る。自民党でも税制抜本改革の議論が始まった。社会保障財源の確保や財政再建目標達成のため、どうすれば良いかは、これから当然議論されるだろう。
経済財政諮問会議は、構造改革路線の象徴として与党からも批判の声が出ています。どう運営しますか。
国民の代表は国会議員だ。諮問会議は経験や知識を持っている方の集合体で、そこで決めたことは大筋で正しいと思うが、国の意思として決定するためには、やはり国会議員が参加したものの決め方が重要だ。与党の意見も聴きながら、ものごとを決めていくのが正しい手順だ。
規制改革担当相も兼務します。タクシーの新規参入や「日雇い派遣」について政府内に規制再強化の動きがありますが、どう考えますか。
規制緩和はすべて善である、という考えはとらない。例えばタクシー運転手の年収が200万円というのは問題だ。正規雇用と非正規の賃金格差も考えないといけない。
朝日新聞:平成20年8月5日(火)
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