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均衡発展優先 もう限界
――財政をめぐる都市と地方との対立が指摘されています。都市部を選挙区とする立場からどう考えますか。
「右肩上がりの経済では、地方が豊かになることに文句を言う人はほとんどいなかった。東京に住んでいる人の多くは地方出身で、自分の故郷の生活水準が向上するとむしろ喜んでいたはずだ」
「バブルがはじけ不況が耐え難くなると、都市部の人たちは公共事業や地方交付税、補助金を通じて都市でつくられた富が地方に流れて生産性が低く無駄な事業につぎ込まれ、自民党の集票の道具になっている、という疑念を持つようになった。国債残高の積み上がりの主因は経済低迷による税収の自然減だが、確かに行き過ぎも目立つ。私は一昨年の総選挙の際、東京1区で落選したが、背景にはそうした民意の変化があった」
――自民党は公共事業や社会保障などを通して地方や高齢者、中小企業に配慮してきました。
「自民党はいわば社会主義政党。大企業や金持ちに冷淡で弱者に手厚い。所得配分メカニズムとしての財政や税制はうまく機能して、安全で公平感があり穏やかな国を実現した。これは評価すべきだ。しかし、『国土の均衡ある発展』という名目で、お金のかかる能率の悪い発展をしてきた。極端なまでに結果の平等を求め、活力もそがれている。今が限界だ」
――かつて橋本内閣の官房副長官として財政構造改革に取り組みました。
「当時つくった財政構造改革法のせいで未曽有の不況に入ったという指摘もあるが、そうではない。アジア危機や拓銀、山一證券の破綻が引き金を引いたのだ。当時の対応は正しかったし、小泉内閣も方向性は正しい。ただ、目先の支出を削りに削っても国債残高を減らすことはできない。経済活性化策や将来の増税といった経済状況に応じた『戦略的な柔軟さ』が必要だ」
――結果として負担や痛みを国民に求めることにもなります。
「自民党をコンパの幹事役に例えればわかりやすい。国民にたくさんのごちそうを出し続けたが、『会費を集める』という厳しいことは言いづらいからツケにしてきた。小泉首相はごちそうを減らしたけど、ツケはたまり続けている。行き着くところは会費の徴収、つまり増税だ。結局は消費税率アップで国民が負担するしかない。私自身も反省するが、自民党は増税について国民を説得することをサボり続けた。落選するのがこわいから税金を上げるとは言えず、安全なことしか口にしない」
――効率や生産性の追及は地方の切り捨てにつながりませんか。
「ある程度の財政調整は今後も必要だが、富の増えない時には日本の生産性の向上や国際競争力を確保するために金を使ったほうがいい。どうせ金を使うなら、将来の富を生み出す部分に投入する部分に投入するのは当たり前の議論で、これは都市優先の論理とは違う。豊かさや経済的なパワーを失った日本が国際社会の中で生存を保てるのか。日本に欠けているのはこうした『リアリズム』だ」
――地方の無駄をなくすために地方への財源の移譲は切り札になりますか。
「地方議会にも問題が多い。知事や首長へのチェック機能は失われ、金を使うことばかりに腐心している傾向が強い。首長、議会が一緒に国にお金を無心するのが今の構図だ。お金を集める苦労を知らないからだ。新鋭など工夫してお金を集め、そのために住民を説得する経験をしてはじめて本物の地方自治が生まれるのではないか」
聞き手:海東英雄
第2部 財政の病理 インタビュー編(3)
【朝日新聞 2002年8月22日朝刊】 |
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