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政策

2016年2月10日

政策雑感(14)

日銀がマイナス金利というまったく馴染みのない金融政策を発表した。
もし私が銀行の頭取だったらどのように考え、どのように行動するだろうか。思考実験をしてみた。

  1. 銀行は今常に怯えている。あの銀行危機の時、多くの経営陣が責任をとらされ、不名誉の中で引退を余儀なくされた。
  2. 今でも怖いのは、金融庁、預金保険機構、そして日本銀行だ。
  3. でもよかった、今まで預けてある我が銀行の当座預金金利にはマイナス金利はつかない。これから預けるものに0.1%(すなわち1,000分の1)のマイナスがつく、要は預かり料をとられるということだ。
  4. 今財務省が出す国債は約80兆円、これは借り替え債40兆円、新発債40兆円である。
    借り替え債というのは手形のジャンプと一緒で、借金を先延ばしするということである新発債は年度予算の為である。(数字は丸めてある。イメージだけ掴んで頂きたい)
  5. 我が銀行も日本銀行に当座預金口座を持っているが、今までの分にはマイナス金利がつかないという。
  6. 日本銀行は国債を直接引き受けることは法律で禁止されている。従って全部が市場にでる。
  7. 我が銀行は事実上「タダ」で国民のお金を預かる。(この為に本来預金者が受け取るはずの金利、大雑把に言って約30兆円が所得移転されている)
  8. 我が銀行は今預金者からお金を新しく預かっても、貸出先がない。優良な所にはすでに貸し出しているし「貸してくれ、貸してくれ」と言ってくる所は相当危ない所ばかりだ。
    その上に企業は手金を持っているし社債を含め色々な資金調達手段を持っている。
  9. どこの会社も設備投資に熱心でない。それは経営者のマインドの問題もあるけれども、需要もないのに設備投資をする愚かな経営者はいない。設備投資は将来の需要拡大の見通しが立たないと発生しない。
    しかしイノベーションによって新しい分野が出来れば設備投資は行われる。今の日本にはどれもない。
  10. 我が銀行も人件費をはじめ色々なコストが掛かる。合理化等やってきたが、収益の見込みのある相手がいない。そういう環境の中で国債は銀行にとって良い買い物である。
    我が銀行の収益は優良企業への貸し出し、住宅ローン、カードローン(今は一流銀行がサラ金に手を出している)等である。
  11. それでも毎年預金は増えている。いったいどうしたらよいのか。行員の給料等も増えている。
  12. 長期金利がこんなに低くとも国債は利率は固定されている魅力のある商品だ。
  13. 今年も我が銀行は国債を買う。それはお金の行き先がないからだ。
  14. 我が銀行は日本銀行が行う資産購入(買いオペ)には応じられない。うっかり手持ちの国債を日銀に売ると現金が手に入る。そんな大きな現金を入れる金庫はないから日銀の当座預金に預けるしかない。そうすると「日銀にお金をとられる」ことになる。それは嫌だ。だから国債という資産は握りしめているのが良い選択だ。
  15. 仮に1兆円日銀に預けると10億円とられる。我が行がそのお金を融資に回した場合、倒産のリスクは10億円で済むのか。不良資産になる可能性が低い「借りて」はそうあるものではない。
    1兆円も色々なところに貸せば、リスクは1,000分の1(10億円)は楽に超えてしまうだろう。
  16. こんなことを考えていると金融庁・日銀から圧力がかかる。
    この二つの機関の検査・考査はとても怖く厳しいものだから。
  17. 我が銀行の方針は次の通りにしたい。
    1. 預金は増えるが無理な貸し出しはしない。
    2. 国債は買う。
    3. 買いオペには応じない。
    4. 法律に基づかない「行政指導」には従わない。
    5. 新しい分野、新しいフロンティアを発見するよう各方面に呼び掛ける。
    6. それでもペコペコしながら従わないという立ち振る舞いが我が行に求められている。

    以上

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